業界

医薬品・製薬企業から見るヘルスケア市場

更新日:


現在、世界の3大市場は、癌と糖尿病と自己免疫疾患(リウマチ、C型肝炎)となっています。

2009年~2015年までの世界医薬品売上は以下のグラフになっています。2015年売上の上位17項目を上げています。

グラフを見てみるとここ数年成長している医薬品は

  • ヒュミラ  :企業:アボット(アッヴィ)/エーザイ
  • レプリミッド:企業:セルジーン
  • プレベナー13:企業:ファイザー

となっています。ハーボニーが急激に落ちているのは需要の一巡と薬価改定により31.7%の減額になったとの事。

このランキングを見ても「リウマチ(自己免疫疾患)」、「癌」、「糖尿病」関連が多く見受けられます。

「ヒュミラ」はTNF阻害薬としては「レミケード」、「エンブレル」に次いで3剤目の生物学的製剤で、「レミケード」同様に抗体によってTNFαの働きを阻害します。関節で過剰に産生されているTNFαの働きを阻害する事によって関節リウマチの痛みの改善だけでなく、関節破壊進行を抑えます。長年有効な治療法がなかった関節リウマチおよびその他の免疫疾患に対する特効薬となっています。

世界の人口は高齢化に伴い、やはり抗がん剤の市場はこれからも成長を続けるのではないかと思います。

また糖尿病は先進国の貧困層や新興国などでは高カロリーの食事や人口の高齢化に伴って代謝の低下で肥満になりやすい為、患者数が拡大の傾向、また慢性疾患の為根本的な治療は見込めないとの事。そういう意味では「癌」と同じく長期的に市場規模が成長するのではないかと思います。

製薬企業

次は企業の2016年度売上高ランキングを掲載します。

 

現在の製薬企業の変化は研究開発の中心が「低分子化合物」から「バイオ医薬品」へと移ったこと。「低分子化合物」は高血圧や糖尿病、高脂血症といった患者数の多い疾患を対象。低分子化合物の開発は飽和状態に達したみたいで研究対象はがんや希少疾患にシフト。特定の免疫システムやたんぱく質をターゲットとする「バイオ医薬品」の占める割合が増加の一途をたどっているとの事。

バイオ医薬品には、関節リウマチ治療薬の「ヒュミラ」「エンブレル」、抗がん剤の「リツキサン」「アバスチン」「オプジーボ」などがある。

世界の上位50製品で見ると24製品がバイオであり、バイオ24製品の売上げ合計は50製品の合計2248億ドルの55.1%となっているとの事。したがって医薬品売上高が100億ドルを超えるような世界的大手で大型のバイオ医薬品がないとか一部に限られるというのは、それだけでも大型低分子薬の特許切れに対するリスクが大きくなっている。

特許切れになった事例で見るとジェネリックが登場したメルクの「気管支喘息薬シングレア」は2011年にメルクの売上げが54.8億ドルあったが、2013年には12.0億ドルと激減し、2年と経たずにほぼ43億ドルが消えた事例があります。

 

スポンサーリンク

スポンサードリンク

ヘルスケアセクターの見通し

これまではオバマケアに基づき被保険者が増えたこともあり業界の売上は増加した面もある。トランプ大統領が米国における医薬品価格の高さを批判しており今後オバマケアの代替え案がどのようになるかがリスク要因になると思われます。ギリアドのハーボニー薬価の引き下げのように売上・株価の大幅下落要因なりかねません。

創薬の開発における成功確率は「3万分の1」。1つの新薬を発売にいたるまで10年の歳月と$1000M(1000憶円)かかります。発売から特許が切れる10年間で費用を回収しなければいけません。その為医薬品の特許切れ、ジェネリックの台頭により製薬企業の競争が激しいのではないかと思います。(特許年数は20年だが発売まで10年はかかる。)

足元の状況として、世界の医療用医薬品市場は6%~7%の成長で底堅く推移して今後5年間も同程度の成長率の見通し。ただ主要製薬企業の営業利益率は、2013年の23%が2016年には19%に落ちている。

新興国が伸びているが、依然として成長の半分近くを米国に依存しているという構造は変わらない。

近年の動き

  • 2016年新規上市薬剤のうちバイオベンチャーを中心とする小規模メーカーが52%になっていてビッグファーマは24%に落ちている。
  • 近年の動きとしてITとの融合が進んで来ているとの事。ヘルスケアのアプリやセンサーを活用したデバイスやサービスを開発する動きも活発化している。
  • ノバルティスはモバイル・IT関連企業であるクアルコムやグーグル、プロテウス等と提携して新しい取り組みを進めている。またロシュも病気の情報サイトや患者同士が情報交換するサイトを活用し患者理解を深めるという取り組みを行っている。

このことからビックファーマは創薬だけではなくM&A、IT・顧客サービスにも取り組み新たなビジネスモデルができるのではないかと思います。

個別銘柄を選択するのは難しいと思いETFを購入すると思います。しかし個々の企業の医薬品特許年数や得意分野を調べることは大事になるのではないかと思います。

ヘルスケアセクターでお勧めのETFはバンガードのETF「VHT」があります。信託報酬:0.1% 配当利回り:1.47%

このETFには「J&J」、「ファイザー」、「メルク」、「アッヴィー」、「アムジェン」、「ギリアド」、「ブリストルマイヤーズ」など売上ランキング上位が入っていますのでリスク要因を抑えつつリターンを得るには最適なのではないかと思います。

スポンサーリンク

スポンサーリンク

-業界

Copyright© バリュー投資の館 〜銘柄・市場分析からの価値取得〜 , 2019 All Rights Reserved.