決算

ヘルスケアセクター銘柄 ギリアドサイエンシズ 【GILD】 2016年度 分析

更新日:


1987年に創立しアメリカを拠点とする世界第2位の大手バイオ製薬会社です。

2006年8月、当社は呼吸器および感染症に関連する創薬に携わる企業Corus Pharma、Inc.(Corus)を買収し、

2006年11月には、主に心肺疾患に関する創薬に携わるMyogen、Inc.(Myogen)を買収しています。

ギリアドはHIV・B型・C型肝炎・インフルエンザといった感染症治療の為の抗ウイルス剤の開発が得意分野となっています。

ギリアドの主な医薬品は

1996年に開発し、スイスの製薬会社ロシュ社にライセンス供与し世界独占特許権も保有している「抗インフルエンザ薬オセルタミビル」があります。これは日本ではおなじみの「タミフル」になります。

また、同社開発の経口抗レトロウイルス薬「ツルバダ」が米食品医薬品局(FDA)に世界で初めてHIVへの感染を予防する薬として承認されています。

2014年に発売のC型肝炎薬の「ゾバルディ」と「ハーボニー」は数ある医薬品の売上ランキングで上位を取るほど大ヒットしました。「ゾバルディ」は100憶ドル、「ハーボニー」は約140憶ドルの売り上げを誇りました。しかし需要の一巡との見方により2つとも減少しています。今後も減少していく傾向があります。

近年は「ハーボニー」のヒットにより「ハーボニー」の売上結果だけで株価を判断する傾向にあるが「ハーボニー」を販売する以前、2004年度から売上・利益とも成長しつづけ営業利益率も50%と出しつづけています。

バイオ銘柄「イコール」ギャンブル銘柄との見方も少なからずありますが、ギリアドサイエンシズ社の今後の成長の見通しが明るいのか分析し、ギャンブル銘柄から離れた存在なのか探っていきたいと思います。

最終年度10-Kは2016年度(2017年2月27日開示)です。

企業の目標

ビジョン:

生命を脅かす患者の治療に更なる進歩を。

ミッション:

効果的な治療法のない疾患に対する革新的な治療を発見、開発し、患者さんに届け、患者さんとその家族に笑顔をもたらす。

コアバリュー:
  • 真摯(integrity)―正しいことをする
  • インクルージョン(inclusion)―多様性を認めて奨励する
  • チームワーク(teamwork)―協働する
  • 責任(accountability)―責任をもつ
  • 卓越(excellence)―常に最善を尽くす

事業のリスク

・新製品の商品化や既存製品の適応拡大に失敗した場合、将来の収益の見通しに悪影響を与える可能性がある。

・メルク社のIdenixが所有する特許を意図的に侵害したという陪審の判決の結果、メルク社に多額の損害賠償を要求することがある。(2013年12月に訴訟、約230百万ドルの賠償金)

・多くの政府規制を受けてる。

・米国外の総収入は36%を占めており、為替やその国の法律、環境による収益悪化のリスクがある

・当社の臨床試験の結果および予想されるタイムラインは不確実。

・特許保護およびライセンスの満了または失効

・訴訟問題

・優秀な人材の確保

主な医薬品の効能

HCV:
  • Harvoni:C 型慢性肝炎又は C 型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善の治療薬でジェノタイプ1型に使用されます。処方は1 日 1 回 1 錠を 12 週間続ける。重症な副作用が見られず著効率(完治率)は96%以上になる。
  • Sovaldi:「Harvoni」が発売される前のC型慢性肝炎の治療薬でジェノタイプ2型に使用されます。処方は1 日 1 回 1 錠を 12 週間続ける。重症な副作用が見られず著効率(完治率)は96%以上になる。
  • Epclusa:C型肝炎の新しい治療薬ですべてのジェノタイプに使用できる(「Sovaldi」・「Harvoni」が効かない場合に使用する。)。
  • 日本人のウイルスの遺伝子型には「1b型」「2a型」「2b型」があり、海外では遺伝子型が6つあることが知られています。1型が30%、2型が70%を占めるといわれています。
HIV:
  • Truvada:成人のHIV感染を治療する併用療法の一部として、1日1回投与される経口製剤である。高リスクの成人における性的に獲得されたHIV-1感染のリスクを低減する。性行為の前に飲む予防薬(PrEP:プレップ)と呼ばれる新しい予防法
  • Atripla:成人のHIV感染の治療のために1日1回投与される経口製剤である。
  • Stribild:HIV-1感染治療のための単一錠剤療法。2012年度から売上計上。
  • Genvoya:12歳以上の小児および成人におけるHIV-1感染の治療薬。2015年度から売上計上。
  • Complera:12歳以上の小児および成人におけるHIV-1感染の治療薬。2011年度から売上計上。
  • Viread:2〜18歳未満のHIV-1感染青年患者の治療のための抗レトロウイルス剤。HBV(B型肝炎)の治療薬としても承認されています。2003年度から売上計上。
  • Odefsey:特定の患者のHIV-1感染の治療薬。単一錠剤療法の最小の錠剤。2016年度から売上計上。
  • Descovy:12歳以上の小児および成人におけるHIV-1感染の治療のための他の抗レトロウイルス剤と組み合わせて示される経口製剤。2016年度から売上計上。

・効能の説明が同じ治療薬があるが新しく発売される治療薬にしたがって副作用の軽減、投与量の減少など改良されています。

その他:
  • Letairis:肺動脈(高血圧)の治療の為の経口製剤。
  • Ranexa:慢性狭心症の治療用の徐放性錠剤。
  • AmBisome:成人の様々な真菌種(カンジダ等)によって引き起こされる侵襲性真菌感染症の殺菌する治療薬。使用法は点滴。
  • Zydelig:ある種の血液癌の治療のためのPI-1Kデルタ阻害剤。リンパ腫を有する患者のための単独療法
  • Hepsera:B型肝炎治療薬。

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セグメント

国別売上:

(※売上割合は2016年度、成長率は2007年度から計算。)

  • アメリカ :総収益の63.7%  成長率:9.7%
  • ヨーロッパ:総収益の21%  成長率:12%
  • 日本   :8.3%  (セグメントには2015年度から記載。それ以前は「その他」に入っていると思われる。)
  • その他  :7%  成長率:28.7%

医薬品売上:

HCV:売上割合は総売上の48%になり、前年比-22%減少しています。

・C型肝炎治療薬の「Harvoni」と「Sovaldi」は需要の一巡により大幅に減少しています。

 

HIV:売上割合は総売上の42%になり、前年比17%上昇しています。

・Atriplaが前年比-17%の減少

・Stribildが前年比5%の上昇

・新製品の医薬品として「Genvoya」、「Odefsey」、「Descovy」が発売されています。

 

その他:売上割合は総売上の7%になり、前年比14%上昇しています。

・Letairisは2008年度から売上計上されており、初年度を除いて年率25.8%で上昇しています。

・Ranexaは2009年度から売上計上されており、初年度を除いて年率20%で上昇しています。

・AmBisomeは2003年度から売上計上されており、2012年度から3.5憶ドルを一貫して売り上げています。

 

ロイヤリティ:売上割合は総売上の1.4%になり、前年比-10%減少しています。

・タミフルの販売に関するホフマン・ラ・ロシュ社のロイヤルティ収入によるものです。

 

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財務諸表分析

BS:

・自己資本比率は33%です。利益剰余金は180憶ドル。

・流動資産の現金は82憶ドルあります。

・長期借入金は263憶ドルで総資産の50%になります。CFで見た返済年数は1.7年です。

PL:

・2004年から利益が出せるようになり2016年度の売上規模は30倍に成長しました。2006年度の赤字は2つの会社を買収したため1次的なものです。

・2007年度から営業利益率は50%以上を出しています。

・売上原価は25%以下、一般管理費は30%以下と一貫しています。

・研究開発費は、2016年には51億ドル、2015年には30億ドル、2014年には29億ドル。

CF:

・営業CFは毎年総売り上げの40%以上を出しています。2016年度は167憶ドル。

・投資CFは有価証券256憶ドル購入しています。

・財務CFでは配当支払いと自社株買いを行っています。

 

チャート・指標

出所:tradingview.com

・チャートは基本的なトリプルトップで下落トレンド。直近の高値85ドルをうわ抜けると下落兆候の要因はなくなるのではないでしょうか。

・前年はハーボニーの需要一巡と薬価引き下げで先行した売りになったがPER・PSRは過去の数値から見て割安。しかしC型肝炎治療薬を使用できる人(払える患者)は3年以内にいなくなるとの事。

そうするとHCV製品の売上が消えると考えPERは20倍付近を見たほうが良いかもしれません。

・ROEは53.4%。

・ROAは19.4%です。

 

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まとめ

ハーボニー、ソバルディの完治率が96%以上でC型肝炎治療が一巡したと思われる為先行して株価が下落しました。上記でも記述した通り3年以内にはHCV製品の売上はほとんど無いかもしれません。

しかしHIV製品は今後も売り上げは横ばい、または10%で成長はできるのではないか?。現時点でのHIV(AIDS)に関して記述します。

少し前まではAIDSになった人は治療はできなく死刑を宣告されたも同然でした。しかしギリアド社が開発した治療薬の一日一回服用の「ツルバダ」と「アトリプタ」はウイルスを血流のなかから完全に除去してしまう(ただし、骨髄とリンパ節に潜んでいるものは根絶できない)。この治療は、副作用がきわめて少ない。その為ライフスタイルも、元気さの具合も、健康な人のそれと変わらないでほとんど正常に近い寿命をまっとうすることを期待できる。

HIVの市場は先進国で毎年5%も拡大し、治療薬を飲み始めた患者は、残りの生涯、ずっと飲み続けなければならない。決算書を見てもその証拠としてHIV製品は毎年10%以上で成長しています。また昔からある製品「ツルバダ」と「アトリプタ」は無くなっておらず近年は成長は止まったが安定的に売上を計上しています。(患者のことを収益源と見ると自己嫌悪を感じますがm(_ _)m)

ギリアド社のセグメントには短い期間で新薬(改良された医薬品)が新しく記述されています。このことから他の企業よりも開発技術があり、成長できる伝統が備わっているのではないでしょうか?決算書にはアッヴィーの圧倒的ブロックバスター「ヒュミラ」がありますがギリアド社もリウマチ・クローン病の新薬を開発(現在フェーズ3)しています。「ヒュミラ」に食い込むことが出来れば売上高:200憶ドル(2014年度の売上規模)は行くのではないでしょうか?。

それに売上原価と一般管理費は低くキャッシュフローは今後も出せると思います。現金・利益剰余金・も潤沢にあります。その為新たなブロックバスター開発までは余裕があるのではないでしょうか?(毎年50憶ドルの研究・開発費用)

株価の見通しは売上規模は2014年度の売上規模を参考にEPS:5~7ドル、PER:7倍で見たら株価は35~50ドルが底になるのでは?

今は難しい状況ですがご参考になればと思います。

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