決算

急上昇 ヘルスケアセクター銘柄 アッヴィー【ABBV】 2016年度 分析

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アメリカ・シカゴに本社を置き、新薬の研究・開発・販売を行うバイオ医薬品企業。2013年1月1日、米国の製薬会社、アボット・ラボラトリーズ(ABT)から分社独立により設立されました。研究開発型医薬品事業(新薬事業)部門はアッヴィーが継承し分社時点でアッヴィの資本・株式はアボット・ラボラトリーズから完全に独立し、以降両社の資本関係及びグループ会社としての関係は存在していません。

アッヴィーはバイオ医薬品会社で得意分野はリウマチなどの自己免疫疾患、C型肝炎・HIVなどのウィルス、癌になっています。

アッヴィーは「ヒュミラ」という医薬品を販売しています。アッヴィーの売上の大半を占めている「ヒュミラ」は数ある医薬品の中でもランキング1位の売り上げを誇っている医薬品です。

アッヴィーの営業利益率は30%にもなり毎年キャッシュフローも出しています。

2015年3月には210憶ドルでバイオ医薬品企業のPharmacyclicsを買収。

2016年4月には総額約58憶ドルでガン医薬品のスタートアップ企業であるStemcentrxの買収を発表しています。

買収は20億ドル相当を現金で、残りはアッヴィ株で支払う。ステムセントルクスが開発中の治療薬候補が実用化へ向け一定の成果を達成した場合、追加で最高40億ドルを支払う。

世界70カ国以上にビジネス拠点を持ち、170カ国以上でアッヴィの医薬品が利用されている。

アッヴィは売り上げの柱となってきた関節リウマチ治療薬「ヒュミラ」が2016年12月に特許失効を迎えています。今後はヒュミラ以外でも収益源の多角化が急務となります。買収企業を見るようにがん領域を次の成長分野と位置づけ、他社買収や共同開発で品ぞろえの拡大を進めています。

現在の財務面、利益面を確認し今後の成長の見通しが明るいのか分析してみます。

最終年度10-Kは2016年度(2017年2月17日開示)です。

企業の目標

・優れた執行と革新的な新薬の一貫したストリームを通じて、持続可能な最高の業績を達成し革新的で患者中心のバイオ医薬品専門の会社を創造する。

・革新的な新薬の一貫したストリームを開発する:

2020年までに標準のケアを強化し、未解決のニーズに対処する20の新製品を発売する予定。

・市販品へのアクセスを拡大する:

世界中の患者に引き続きプロモーション商品を提供していく。

・文化を強化し続ける

革新的な文化を育てトップの才能を引き付けて発展させていく。

事業のリスク

・特許保護およびライセンスの満了または失効

・主要製品は、予想よりも早期に特許保護を失う可能性

・第三者による知的財産侵害の訴訟

「ヒュミラ」の収益に悪影響を与える重大な出来事

・短期製薬パイプラインの一部は、第三者とのコラボレーションに依存している

・バイオシミラーとの競争

・多くの政府規制を受けてる

・米国外の総収入は38%を占めており、為替やその国の法律、環境による収益悪化のリスクがある

セグメント

国別売上:
  • アメリカ:総収益の62.2%
  • ドイツ:総収益の4.31%
  • ほかの国での売上げは3%以下になっています。

各地域とも2012年から売上の比率はさほど変わっていません。

オランダは2013年までは3.3%でしたが2016年は1.37%になっています。

製品別売上:
  • ヒュミラ:2012年当初から売上の大半を占めています。2016年の売上は総収益の62.7%になっています。
  • イムブルビカ:2015年から販売しています。総収益の7.15%になっています。
  • ヴィキラ:2014年から販売しています。総収益の5.94%になっています。前年より売上げが7%落ちています。
  • クレオン:2012年から平均20%で成長しており2016年売上は総収益の2.85%になっています。
  • その他の製品は成長しておらず各製品の売上は総収益の3%以下になっています。

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主な医薬品の効能

ヒュミラ:

2003 年の米国での発売以来世界で最も処方されている製剤のひとつです。ヒュミラは世界初のヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤で主に関節リウマチ、クローン病に適用されています。

2015年医薬品売上ランキングでは160憶ドルの1位につけています。

イムブルビカ:

リンパ球の一つであるB細胞に由来する悪性腫瘍である瀰漫性大細胞型B細胞性リンパ腫・多発性骨髄腫(癌や白血病)の治療に使用される抗がん剤です。

2017年8月2日にFDAが成人の造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(GVHD)で適応拡大を承認したとの事。今後さらに売上が伸びる可能性があります。

ヴィキラ:

2014年12月19日にFDAに承認されたC型肝炎治療薬です。C型肝炎治療薬では先にギリアドサイエンシズ社の「ハーボニー」が発売されていて2015年医薬品売上ランキングでは90憶ドルの2位につけています。

「ハーボニー」は1日1錠に対して「ヴィキラ」は朝に3つの薬と夜1錠の薬を飲まなければいけなく処方が面倒になります。その反面価格の安さで勝負をしています。

2017年8月3日にC型肝炎の新薬「マヴィレット」がFDAに承認されたとの事。価格も「ハーボニー」の25%の低価格です。

クレオン:

2011年に分社前のアボット時代に嚢胞性線維症による外分泌の膵臓の不十分を扱うためにFDAが承認した薬です。膵外分泌機能不全に用いられます。(食べ物の消化を助ける医薬品:胃薬)

嚢胞性線維症は遺伝性疾患の一種で白人に高頻度で見られ、欧米白人の2500人に1人が発病するとの事。1カプセルの薬価は32.5円。

財務諸表分析

BS:

・自己資本比率は7%です。自己株式をすぐ現金に換えれると仮定したら自己資本比率は22%になります。

・利益剰余金は$43憶ドル、2016年度で自己株式は108憶ドル持っておりこれからも自社株買いを継続するとの事。

・長期借入金は増えており364憶ドル。CFで見た返済年6年になります。固定負債は総資産の78%を占めています。

・債券回転数は売掛が67.7日、買掛が133.5日と資金回収が速いので資金繰りにはまだ困りません。

PL:

・2014年の停滞はシャイア買収の取りやめによる違約金などで一般管理費が増大していることが要因です。

・2016年度の前年比は売上:12%増、営業利益:25%増営業利益率は36.6%になっています。

・2014年度の一般管理費が通年通りと仮定したらすべての年度で売上・利益は成長を続け、営業利益率は30%を出しています。

CF:

・営業CFは毎年60憶ドル~70憶ドル(2014年除く)出しています。

・投資CFは買収費用(25憶ドル)と米国債券(53憶ドル)を購入しています。

・財務CFでは借入金を借り入れ(116憶ドル)、借入金返済(60憶ドル)、配当支払い(37憶ドル)、自社株買い(60憶ドル)

借入金仮入れの目的が配当支払い、自社株買いになっていないか注意が必要です。

 

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チャート・指標

tredingview.com

・PER・PSRとも割高になっています。PERは底が16倍で目安になるのではないかと思います。

・ROEは自己資本比率が少なく評価できません。

・ROAは10%です。

まとめ

成長ドライバーとして圧倒的なブロックバスター「ヒュミラ」が2020年まで売上が伸び210憶ドルを見込んでいるとの事。現160憶ドル。

抗がん剤の「イムブルビカ」が適応範囲の拡大でさらに売上が伸びる可能性があります。

それに加えギリアドサイエンシズ社に対抗して低価格のC型肝炎治療薬「マヴィレット」があります。

「ヒュミラ」が特許切れにも関わらず売上が続くのはバイオ医薬品であり後発薬(バイオシミラー)が作りにくい事が要因になっているのではないかと思います。

バイオ医薬品は分子サイズが極めて大きく構造が複雑な為、作成する技術・検証する技術が必要になりジェネリックのように簡単に作れないとの事。よって後発品を作ることは新薬を作るのと同等の手間がかかると解釈します。

上記によりまだアッヴィー製品の優位性はまだ維持できるのでは?。(なによりバイオ専門企業

懸念点は

  • 毎年50憶ドルの研究・開発費用が掛かっていると記述されているが「ヒュミラ」並みの医薬品が作れるのか?
  • C型肝炎治療薬の例に見てすべての製品が価格競争に入るのではないか?
  • また薬価引き下げにより事業収益に相当な影響が出るのではないか?
  • 財務面でのリスク

全然知識がないのでまだまだ調べることがたくさんありますがこの記事でお役に立てればと思います。

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