決算

フィリップモリス 【PM】2016年度 分析

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2008年3月28日、アルトリアグループからタバコ事業国際部門としてスピンオフし誕生したのがフィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)です。

アルトリアグループは米国内だけで事業をし、PMIは米国以外で事業を展開しています。

世界の紙巻きたばこ上位15ブランドのうち6つがPMIのブランドであり、その1つの銘柄マールボロは全世界で売上NO.1のブランド。PMIは32ヵ国に48ヶ所の生産拠点を持ち、約180ヵ国でPMIの製品を販売しているとフィリップモリスジャパンのサイトに記述されています。

業績は安定的で2008年上場時から連続増配し高配当(4.16%)・2014年度まで自社株買いを続け株主還元にも精力的です。

米国外では無煙タバコ:アイコスを販売していますが、米国内ではFDAの許可が下りない為販売していません。なぜFDAの許可を待っているのかというとアイコスは従来の紙巻きたばことは違う健康リスクが低い新製品として売り出したいからです。

またPMJapan社長ポール・ライリーは「IQOS(アイコス)でタバコ界のiPhoneになる」と宣言しています。

近年WHOやFDAによる禁煙化運動やさらなる規制の強化(タバコ業界の動向)などもあり先進国では禁煙化が進みタバコ産業にとって厳しい状況になりつつあるとおもいます。その状況でもフィリップモリスは保有できる銘柄なのか分析していきたいと思います。

最終年度10-Kは2016年度(2017年2月17日開示)です。

 

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企業の目標

・スモークフリー:禁煙の選択肢を開発・販売し、世界中の大人の喫煙者をできるだけ早くこれらの選択肢に切り替える

・遷移:当社の資源をタバコからスモークレス代替え品に移行

・規制:禁煙政策によるタバコの代替を促す規制政策を提案する

・才能:当社のグローバルな労働力のための選択の雇用主であり、最高の才能を引き付けるために不断の努力をする

・透明性:進捗状況を共有し、対話と独立した検証を招待する

・成長:株主のために優れた収益を提供する

上記目標の為、革新的な新製品の強化と発売と法令遵守の為、タバコ事業の支援強化、バイオテクノロジーパートナーを通じ、潜在的に可能性のある技術プラットフォームに関する研究開発活動、有害なタバコ代替え品の開発(タバコ企業最大手にも関わらず世間の目・紙巻きたばこの有害性批判を受け入れ、企業存続の為将来に向けて努力しているのが読み取れる。)を実践している。

ホームページにて私たちの宣言として

「煙のない未来をデザインする」

とまで表示しています。

事業リスク

・タバコ製品は実質的な課税を受けている。又、さらなる増税の可能性がある。

・タバコの消費は多くの市場で引き続き減少している。

・政府・WHO・FDAからのタバコ製品の規制強化

・健康被害による訴訟

・消費者の嗜好の変化や景気後退の影響を受けた消費者の行動に対応することができない可能性

・為替レート

・ 海外収益の送金、利益構成の変更、米国税法の変更は、当社の実効税率を引き上げる可能性

・経済状況・気候変動の影響によるタバコ製品の原料のコスト上昇

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事業内容

・アルトリアグループのように紙巻きたばこと無煙タバコを分けていなく地域でセグメント情報を開示しております。

・セグメントは「EU(欧州連合)」・「東EU、中東・アフリカ」・「アジア」・「ラテンアメリカ・北米」に分かれています。

・EU(欧州連合):2008年から売り上げは260億ドル~300憶ドルの間で推移しています。利益率も12.8%~15%で推移しています。

・東EU、中東・アフリカ:2008年からは上昇しており売り上げは180億ドル。利益率は16.5%と2008年から減少傾向にあります。

・アジア:2008年から売り上げは上昇しており近年は180億ドル~220憶ドルの間で推移しています。利益率は15.6%です。

・ラテンアメリカ・北米:2008年から売り上げは上昇しており近年は90億ドル~100憶ドルの間で推移しています。利益率は10.4%です。

・無煙たばこの成長率が著しいです。「2016年末時点で、およそ140万人の成人の消費者がたばこを吸うことをやめIQOSに変換」と記述されています。

・懸念点はアイコスの本体を生産する為に設備の維持コストが新たに加わってきます。今までは投資CFが少ないのですがアイコス本体は部品メーカーの設備コストと同じようになるのではないか?その為利益率が相当落ちるのではないか?

財務諸表分析

 

BS:

・2008年から続けてきた自社株買いが2012年に資本金+利益剰余金の金額を上回り債務超過になっています。この債務超過は「経営の行き詰まり」ではなく潤沢な資金の信用力を生かし低金利での資金調達で負債増加・純資産を減らし、株主還元=市場の評価を上げ株価上昇させる企業戦略の為だと思います。

・有形・無形資産ともそれほど変化はなく設備維持コストは少ないです。

・有利子負債は約300憶ドルになり全体の84%になります。ですが、自己株式は2016年度350憶ドル・利益剰余金は300憶ドル、営業キャッシュフローは毎年80憶ドルはありますので安全性には問題は無いと思います。

PL:

・売上は2007年から上昇し2013年にピークの800憶ドルになっています。2016年度は先進国の禁煙化の傾向で750憶ドルと横ばいに見えます。

・営業利益率は販管費が上昇しておらず2008年から26%台を維持しています。2016年度は23%になっています。

CF:

・2007年から安定的に営業CFを出しており2016年度は約80憶ドルになっています。また設備コストが少ない為投資CFは9.7憶ドル。

・CF配当性向は56.4%、毎年増配し配当利回りは4.16%になっています。

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チャート・指標分析

出所:アメリカ株ドットコム

・リーマンショック前高値:56ドルから2008年10月には33ドル(騰落率:41%)まで下落しその後45ドルに上昇。2009年3月には再び33ドルに下落しました。

・2012年から2014年にかけてゆっくり下落している。2012年はオーストラリアで簡易包装で訴訟されています。2010年に「低延焼性たばこ」生産を義務付けた豪政府の規制で、輸出機会が制限されている為、オーストラリアでの生産を中止しています。ですがこの期間、業績は上昇しています。

 

・PERは19以上が割高になる感じです。現在はPER:22.7とバリエーション的には割高になっています。タバコの需要は横ばいになっているのでEPSが上昇するのは厳しいかと思いますのでPERが「19」以下まで落ちるのを待ってもいいかもしれません。ただ高配当なので、適切なポートフォリオを組んで高配当戦略を実践するのでしたら間違いなく買いでしょう。

まとめ

・先進国の禁煙化によりタバコは減少傾向にあります(タバコ業界の動向)。フィリップモリス自体も紙巻きたばこの批判を肯定しているかの態度をとっているように見えます。だが、フィリップモリスは無煙タバコ:アイコスが日本でヒットしたことを確認、また無煙タバコが各国でも受け入られる希望が見いだせている為、紙巻きたばこの生産を徐々にやめ、無煙タバコや従来のタバコの代替え製品に切り替えると明言しています。

・シェア40%もある紙巻きたばこ銘柄:マールボロで圧倒的なブランド地位を確立したのにそれを捨てる覚悟で無煙タバコに切り替える宣言をすることは並みの事ではないと思います。これを宣言できることは企業本体はもちろん、経営陣も超一流ではないのでしょうか。

・またFDAに無煙タバコのリスクの低減したタバコとしての認可を申請中とのことです。申請が許可されたらタバコとは違う健康リスクが低い新製品と謳うことができます。ですがFDAの承認が遅い為、機会損失になる為FDAの承認を待たずに販売に踏み切るとのニュースがあります。

・無煙タバコが周りに迷惑をかけない・健康リスクが低い製品、FDAの承認は無理だとしてもそれによって社会の批判が和らぐ新製品として根付くか今後の成長を注視したいです。

・2017年11月5日現在の株価は102.68ドル、PER:23と少々高く感じます。いまはFDAの規制ニュースでタバコ企業の株価は下がっていますので落ち着くまで待ってもいいと思います。

・株主還元にも精力的で伝統を断ち切る決断力、新たな成長としての努力を惜しまない経営陣がいる超一流の企業だと思います。

・アイコスの利益率に関してPMJapan社長ポール・ライリーは「仮に全てのお客様がアイコスに移行した場合、われわれは紙巻きたばこと同程度の営業利益率を確保できると考えています。」といっています。

・ただ成長期間に入るのは現在の紙巻きたばことアイコスの切り替えが終わってからになるんじゃないでしょうか。(2007年アップルのiPhoneが発売されました。それから10年たった現在世界各国のスマホの普及率は60%~90%(ぱっと見)の間になっています。タバコも10年はかかるのかと思います。)

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